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それでも年月とともに、ようやくその痛みも薄れてきた何度目かの春、俺は数年ぶりに偶然彼女に再会する。
「――――ハイ
帰りは区役所寄って帰ります……忘れてませんって」
現在時刻は15時39分
出先から戻る途中に
駅に続く陸橋を歩きながら、さっきかかって来た電話に相槌を打っていると
ふと視線の先に向かいの階段を上がる人が目に入る。
(――――え、)
一瞬分からなかったが、その面影は数年前と変わらない。
「―――分かりました、じゃ後で戻ります」
ケータイを耳から外し、それをしまうと
腕時計に目を配りながらこちらに近づく彼女に向かって声をかけた。
「…久しぶり、夕帆ちゃん」
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