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スーパーの袋を片手に俺を見上げた彼女は、
これ以上ないほど目を開いてその場で足を止めた。
俺が一歩ずつ近づく足音が人気のない陸橋に響く。
「――――西園寺さん……」
ようやく口を開いた夕帆ちゃんに、俺は視線を合わせてニッコリと微笑んだ。
最後に彼女と別れたのはいつだったか、
何年も前に会ったきり、今まで一度も会う事はなかった。
驚きの表情を浮かべていた彼女は 急に小さく笑った。
「………久しぶりに見ました、
その王子スマイル」
口元に手を抑えやんわりと笑う彼女は、記憶の中よりも随分と大人びて見えて、
あの時から随分と月日が流れたのだということを物語っていた。
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