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「……ホント久しぶりだね
――――元気だった…?」
香澄を思い浮かばせる最たる相手の彼女に対して
いつもと変わらず話せる自分に内心驚くと同時に どこかホッとしていた。
「―――はい
西園寺さんもお元気でしたか?」
「うん、夕帆ちゃんは買い出し?」
私服ではない彼女の格好と、その手に持つ袋に目をやりながらそう訊ねると
「休憩もかねて……ですが」
眉尻を下げて薄く笑う彼女の表情は 昔と少しも変わらない。
「そっか
新しい店、この近くなの?」
「はい、もう少し先ですけどね」
いつの間にか店を変わり、
寮も出た彼女とは駅で会う事も無かった。
数えると三年ぶりの再会に、
他愛もない話に花が咲き、笑いが絶えない。
彼女にここで会ってから、
ずっと聞きたくて聞けなかったことがある。
「―――香澄は、……元気?」
俺は軽い笑みを落とさずに、静かに訊ねた。
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