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香澄が結婚すると聞いてから 俺はまた一度、バーで潰れた。
その時も佐川に醜態を晒し、
数年前に潰れた時と同じく、気付いたときはタクシーの中だった。
あの時と同じく佐川は何も言わなかったが、
あの時と大きく違うことは自分自身で抉った傷が、思いのほか早く瘡蓋になった事だった。
会いたいと思う気持ちは何年も変わらない。
ただ 香澄のいないリアルをずっと彷徨っていた俺も、
ふとした瞬間思い出し胸が痛むことはあっても、その痛みも時と共に薄れていくことがどこか不思議だった。
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