胸臆

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「――西園寺さん ここいいですか?」 「いいよ、どーぞ」 俺の言葉に、次々と女子社員が俺のいるテーブルの周りに集まり、腰を下ろし始める。 今日は年に一度ある全社員参加の懇親会で、 俺にあまり接点のない女子社員達が この日ばかりは と話しかけてくるというのが毎年恒例になっていた。 前も隣も女子社員に囲まれいろいろ質問攻めになるが、 俺はいつもさらりと流して適度にこの特異な雰囲気を楽しんでいた。 周りの話に相槌を打ちながら視線を彷徨わせると、まだアイツの姿は見当たらない。 (―――まだ出先から戻ってないのか……) まだ懇親会というものが分からなかった入社一年目だけ、俺は佐川と同じテーブルに座ったことがあった。 (あの時は…………) 「どうかしましたか?」 「……イヤ なんでもないよ」 新入社員の俺たちの周りを取り囲むように先輩女子社員が座り、 宴会が終わるまで尋問のような質問攻めにあった。 あの時のアイツの顔はきっと忘れられないだろう フッと小さく笑みが漏れ、 思わず片手で口元を覆うと俺は小さく息を吐き出した。
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