胸臆

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―――酒は人を変えるのか それとも酒でわざと人格を変えているのか  だんだんと俺に話しかける内容が白熱していく 毎年席が同じになる子は何故かいないのに、毎年同じ内容を訊かれるのは 俺としては不思議でもあり、また面白くもあった。 「西園寺さん~、今度一緒に飲みに行きましょうよ」 「彼女さんとか、居ないんですか?」 ビールグラスに手を伸ばし、ゆっくりと喉に流し込む。 (―――彼女………か ) 間をおいて、俺は薄い笑みを浮かべながら 「 彼女、いないよ 」 と口にした。 瞬間、何とも言えない声が湧き上がり、 他のテーブルの女子社員たちも一斉にこちらに視線を送る。 俺の言葉に、俺の周りの子たちはここぞとばかりににじり寄る。 「 えぇー、ほんとですか!?」 「 西園寺さんフリーなんですか!」 畳みかけるように質問を続ける彼女たちに、俺はニッコリ微笑むと 穏やかに言葉を繋いだ。 「 いないけど、今はいらないんだ 」
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