胸臆

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顔を僅かに歪めて俺を見返すコイツは 多分今、遅すぎる初恋を迎えている。 だけどそれまでのコイツは 俺から見てもマジでひどい。 目を引く容姿で当然ちやほやされ、常にモテる。 そして基本あまり女には近付きたがらないのに 女から誘われれば、受け流すようでいつも流されて、本当の相手を見つけられなかった。 そんなコイツにはまだ切れてない女がいて、 今ちゃんと整理しないと上手くいくはずがない。 そう暗に諭すと珍しく佐川は小さく頷いた。 それを見た俺は どこか安心して肩を撫で下ろすと踵を返す。 なんだかんだで迷惑もかけた俺は、 コイツの初めての本気の恋を応援してやりたかった。
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