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「…リアルプリンスだな……
―――社報に載るんじゃない?」
クククと笑いながら冗談を言うと、一層冷めた目で俺を睨む。
「今日着飾らないで、人生いつキメるんだよ
―――ホラ、お姫サマもご登場だ」
視線を移した俺たちの先で、
介添え人に後ろを支えられて
ゆっくりと庭に降りてくる彼女は
――本当にお姫様のようだった。
白い肌に良く合った真っ白なドレスが
春の日差しを浴びて、まばゆいほど輝いている。
キョロキョロと視線を彷徨わせて階段を降りる彼女は、
佐川を見つけると ふわりと笑ってこちらに一歩ずつ近づく。
頬を桜色に染めて、晴れやかな笑顔で佐川の隣に立つ彼女に、
俺も心からの笑顔を向けた。
「……柏原さん、結婚おめでとう」
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