エピローグ

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「西園寺さんは…  本当に痛いくらい香澄ちゃんが好きで  ―――だから私の気持ちは心にしまって、 言うつもりはありませんでした」 彼女の眼差しを受けて  俺の目がだんだんと開いていく。 「香澄ちゃんが居なくなって、  私もあなたに会わなくなって…  だけど心の中からは、いつまでもいなくならなくて……  だから自分の中で決めたんです  ――――もし、  もう一度会う事があれば言おうって 」 言葉を止め、思い出すようにどこか遠くを見た彼女は 笑みを浮かべたまま少しだけ顔を歪める。 「―――けど思いがけず再会したら…  先に西園寺さんが  「香澄は?」って訊くから……  もう何も言えなくなっちゃいました」 彼女の目は笑っていてもどこか憂いを帯びていて あの時を思うと胸が痛むが、  今はそれよりも別の痛みが俺の胸を走る。 「だからこれで終わりか……と思ったんですけど  ―――私も諦めが悪いですよね  もう一度…… もう一度もし会えたら、今度こそは……って」 庭に咲いていた桜の花びらが ふわりと俺たちの間にゆっくりと舞い落ちる。 「だから言わないと、  私にはもうこれが最後なんで ……自分でも知らないうちに、  あなたの純粋に想う気持ちに惹かれていました  ――――あなたが、好きです」
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