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「―――――――――」
彼女の言葉は考えもしたことなくて 予想外で
―――驚いて声が出ない
けどまっすぐに俺に辿りついた言葉は
俺の心に響いてゆっくりと広がる。
俺の向かいに立って俺を見つめるその眼差しには
笑顔の中に苦い色が覗いている。
―――彼女はきっと 『笑わないと』 と思ってる
何となく、わかる
―――俺もどこか彼女に似ているから
長い間俺は抜け出せない渦の中でもがいていたけど、
彼女も…もしかしたら同じだったんだろうか
「―――俺たち お互いの事 殆んど何も知らないよね 」
知った仲なのに
知っているのは随分と前にかかって来たケータイ番号と、
『夕帆』という名前だけ。
「―――――」
口をつぐむ彼女に 俺は彼女の目を捉えて柔らかく微笑みかけた。
「 だからまず、
名前から教えて
―――……なに夕帆さん?」
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