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大きな歓声が俺の後ろの方で聞こえる。
――佐川と彼女が戻って来たんだろう
俺もそろそろ戻らないといけない
「さ…て、
新郎にプロポーズの言葉でも訊きに行くか 」
口元を上げて辺りを見渡すと
心なしかさっきより景色が色づいて 煌めいて見える。
無理に掴もうとしても手元をすり抜ける恋は
いつしか花を咲せて 俺たちを包むだろうか
木々が揺れてふわりと風の薫る細い道を辿り
俺は小さく口元に笑みを浮かべると、
大きく伸びをして今日の主役のところへと踵を返した。
残雪 ーのこりゆきー ―完ー
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