始まり

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【首都 東京】 「きゃああああ!!!」 「うわああぁぁぁ!!」 何?何?と人々がざわめく。 そして皆悲鳴がする方に向いていく。 土日の昼過ぎだったため人通りはかなり多く ザワザワした声はすぐに広まった。 「えっなんかの撮影?」 『そのモノ』から5メートルほど離れた カップルの彼女が呟いた。 「えっでも下から出てきたんだぜ!?」 今度は男の方が目線は『そのモノ』に向けたまま呟く。 『ソレ』の下には目くれ上がったタイルが散らばっていた。 『ソレ』は人の背丈より少し大きかった。 3メートルないぐらいか。 そして『ソレ』はまるで着ぐるみのようだった。 〇〇レンジャーの敵のような着ぐるみのようで。 ただ着ぐるみよりも動きは軽やかにみえる。 そして身に付いている牙や爪は本物のようだった。 カキンカキンと爪同士が当たる音が聞こえる。 その爪はキラリと 太陽の光を鋭く反射していた。 周りの人々はまだ半信半疑のようだ。 『そのモノ』から一定の距離を保って離れている。 写メを撮る音もしている。 『そのモノ』はトントンと軽い足取りで人々に近づく。 それから腕を振り上げたかと思うと 思っていたよりもアッサリと その腕を振り落とした。 人に向かって。 赤い液体が辺りにばぁっと広がると同時に 遅れて悲鳴が周りから飛び散った。 逃げる? どこへ? ぐしゃぐしゃな方向に人々は走り出した。 何なの。 恐い。 とにかく。 早く。 どこかに。 人々の混乱とは反対に 『そのモノ』はぐるぐる周りを見渡すと とりあえず適当な方向に歩き出し そして適当に人を襲っていった。
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