ポンコツロボット

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 博士は実におかしなモノを造ったものだ。いや、そもそも、あれに対して造ったという表現は正しいとは思えない。何故なら、博士は自慢気に壊れたロボットを私に見せつけるのだから。 「実にいいできだろう」 「は、はい」  私はどう受け答えをしたらいいのか分からなかった。  そもそも、私が勤める会社は仕事の効率を上げる為に、博士にロボットの作製を頼んだ。一人、一台のコンピューターを扱う時代だ。ロボットを働き手として採用してなんらおかしくない。  しかし、出来上がったという報告を受けて、博士の研究を訪れた私が目にしたのは、どこからどう見ても壊れているロボットだった。  外見がどうこうという話ではない。博士が造ったロボットは、会社が依頼したモノとは全く真逆だ。何もしなくても、カタカタと震え、雑音が混じる電子音声が取り付けられた口からは煙がモクモクと上がっていた。 「博士!これは、どういうことですか!全然、依頼した内容のロボットとは違うではないですか!」  私はもっと、優秀なロボットを想像していただけに、あまりにも理想とかけ離れていたロボットに文句を言わずにはいられなかった。資金援助をしているからには、それ相応の働きをしてもらわないといけないというのに。この出来の悪すぎるロボットを紹介されても嬉しくない。むしろ、こんなポンコツロボットに開発費が使われたと思うと腹立たしくなる。 「もちろん、依頼通り、会社の役に立つロボットですよ」 「こんな、壊れたロボットが何の役に立つと言うのですか」  大真面目な顔をして言う博士に、私は怒った口調で言い返した。  多額の金が使われたというのもあるが、ポンコツロボットを見ていると、だんだんと腹が立ってきのもある。  怒りを覚えている私を見て、博士は嬉しそうにしていた。 「ふむふむ。どうやら、機能は果たせているらしいな」 「機能?壊れたロボットに、無駄に機能を取り付けたのですか!」  私はただただ、呆れるしかなかった。 「まあ、そんなに起こらないでください。確かに、会社が理想としていたロボットとは大きくかけ離れたモノになってしまいましたが、これは私が研究に研究を重ねた結果、行き着いた姿なんだ。これからの社会には、こういうロボットが絶対に必要になる。きっと、無駄ではなく有意義なモノであることが理解できるはずだ」
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