ポンコツロボット

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 この一件をキッカケに、私達はことあるごとにロボットに八つ当たりをするようになった。博士が造ったロボットだけはあって、壊れた外見とは裏腹に結構、頑丈な造りをしていた。どんなに殴ろうが、叩こうが、転ばそうが、突き落とそうが、完全停止するということはなかった。それどころか、雑音に混じって、ロボットの電子音声からは、弱々しい声で、 「ごめんなさい。許してください」  そんな声が漏れるのだった。  その弱者のような声に、私達はますます調子づいて、ロボットにわざと出来ない仕事を与えた。例えば、この壁を真っ白なペンキで黒く塗っておけとか。普通の人なら、出来るはずがないと言い返すが、ロボットは命令に忠実から白いペンキで必死になって黒く塗ろうとしている。どんなに、頑張ろうと不可能なので、結果的に、私達から袋叩きにあわされた。  ポンコツロボットを会社で使うようになってから、一年が経過した頃、会社の会計から、ある報告がなされた。それは、会社の景気が向上しているという内容だった。調べてみると、確かに会社全体で、仕事の効率が上がっていた。入ってきたばかりの、新入社員も精力的に仕事に励み若い力が会社の景気をよりよくしてた。  もっとも、ポンコツロボットに対する苛立ちは収まってはないが。  どういうことなのか。私が不思議に思っていると、一年前から連絡をとっていなかった博士が自ら会社にやってきた。 「どうやら、しっかり、ロボットは役に立っているようだな」 「どこが、役に立っているのですか。ロボットを会社の雑用係として、この一年扱ってきたが、一向に役立つ気配がないじゃないですか。ロボットのくせに、人の作業の何倍も遅く、見ているだけで、私達は苛立ちを覚えるのですよ!」  お茶汲みですらまともにできないロボットに、私は腹を立て、足払いをしてやってわざと、転ばせた。ロボットは相変わらず、弱々しい声で、 「ごめんなさい。ごめんなさい」 と、壊れたテープのように同じ声を連呼し、私を苛立たせた。 「それで、いいのです。それが、このロボットの正しい働きなのですから」 「どういうことですか?」
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