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雲一つない青い空である。 「いっ…て、ぇ…」 激痛と共に目を覚ませば、肩から先が――右腕が、なくなっていた。 いや、なくなっていたというより、ちぎれていたと言うべきであろうか。 生温い液体がとめどなく溢れ出すのを全身で感じながら、彼は、状況を確認するため、身体を起こそうとした。 ――動かない 一体これはどういうことなのか。さっぱりわからない。 ただただ、痛い。 辛うじて動く首をひねって辺りの様子を伺う。 どうやら自分は荒野を這う二本の線路の間にいるらしかった。 横転した三両編成の小さな列車と、ちぎれたばかりの生々しい肉塊が視界に入った。 「う、わ…っ」 自分の腕とは言えど、それはもう過去の話。 半ばミンチのような状態のそれは、吐き気を催すには十分だった。 身体が固定されている以上、起き上がって吐くことも出来ない。 「………?」 左腕に微弱な振動を感じた。 だんだんと振動が強くなっていき、彼は絶望的な事実に気がついた。 "左腕も線路に乗せられており、そしてその線路を走る列車が刻々と近づいてきている" "早く拘束を解かなければ、左腕も、――" 和らぐことのない激痛の中で必死に頭を巡らせる。 出血が激しい。 自分は後何分の命なんだろうか。 列車は、すぐそこまで来ていた。
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