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「うっわ…こりゃひっでぇな」
「にしても"奴"がここまで来るとは…」
「なー。おっぞましー。」
(…"奴"って何だ?)
「…う……」
(くそ…痛ぇ…。こいつらは一体、何者なんだ?)
「お、おまえさん…い、生きてたのか!」
「………、はぁ…。」
「俺らはここ一帯のお巡りさ、警戒する必要はねぇ。」
「お前さんもなかなかタフだな、右腕がぶっ飛んだってのに。」
(はっ…右腕……!)
未だ絶えず腕に走る痛みが先ほどの出来事が悪夢でもなんでもなく紛れもない事実であることを示していた。
どうやら左腕は朦朧とした意識の中でも死守したようであった。
しかし、"左腕は残っている"という状況に安堵する余裕も与えないほど右腕のあったはずの場所が主張を繰り返す。
彼は自分がレジャーシートのようなものの上に乗せられていることに気がついた。
「悪いな、兄ちゃん。そんなところに転がしといて」
「その出血の量じゃ死んじまってるって思ったんだ。」
なんと雑な警官たちなのであろう。
「本当に申しわけねぇ。この件はすっげぇデカイもんなんだ。」
「急いで病院に搬送しようったってここからじゃ行きだけで二時間もかかっちまう。」
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