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城の中は暑くも寒くもなかった。
魔法効果だな。
床は大理石でできており毎日磨かれているからか、ピカピカだ。
壁にかかっている絵画や壺などが床に映っている。
その映っている絵画や壺も見るからにお高そうなものだ。
そんな廊下をこの城に仕えるメイド達や執事達が、さっきからわたわたと忙しそうに歩き回っている。
俺はそれを影からこっそりと見ていた。
メイドa「9:00には就任式が始まるから、急がないと!!」
メイドb「来賓の貴族様方も、もうどんどんお越しになっていらっしゃるし…
粗相の無いように働きましょう」
メイドa「はい!」
労働意欲のある娘さん達だな。
二人の話によると、約1時間後には始まるらしい。
椿「(それまでテキトーに探索するか…いや、でもなぁ)」
城の中を探検するには日にちを間違えたな。
こんなに忙しそうに回るなか、下手に動いて彼女達の労働を邪魔したくない。
椿「(探索はまたの機会にするか…)」
俺はなるべく邪魔になら無いよう(まぁ、俺の姿は見えないけど)、人の少ない方へ向かった。
そしてたどり着いた場所は、人気(ひとけ)がほとんど無い廊下だ。すると、
?「…から、……してちょうだい」
?「大丈夫です……ですから……わかっております」
ボソボソと何やら怪しい会話が聞こえたので、そちらの方にいくと、
椿「(防音製の部屋、か。
普通なら音は漏れないが、俺の聴力は拾うんだよな…
つーか、結界を張らないということは、そこまで重要な話をしてるわけではないってことか?
にしても随分と扉が豪華だな。
この部屋の主は相当位が高いと思うけど…)」
今まで見てきた城の部屋の扉としては、一番豪華だ。
大きさもあるし、この部屋がある廊下に他に部屋は1、2つしかない。
つまり、この部屋は他の部屋よりも広い。
なにより此処の廊下は大理石ではなく、ふかふかの絨毯が敷いてある。
明らかに他とは違う。
椿「(王族の部屋だったりして…でも護衛がいなかったし、違うか)」
俺はそこをあとにした。
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