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~1時間経過~
王座がある広間に俺はいる。
これから式は始まる。
上級貴族から下級貴族、議会の幹部級の議員、そして彼らの家族が集まっている。
俺は広間の隅の方に、気配だけを消して周囲を観察している。
椿「(…あ。王座の近くにいる集団は大臣と…7大貴族か。
ジークとアークがいるし。
つか、アークがふざけてねぇ)」
赤、水、黄、緑、茶、黒、白の色をした頭の集団が固まって王座の近くにいるものだから、かなり目立つ。
「静粛に。
王妃様ならびに皇太子様、第1王女様、第2王女様のおなーりー!!」
髭がマリオのようにご立派な紳士が、朗々と声を張り上げた。
思ったよりもかなり若く美人の王妃が、王座のとなりにある豪華な椅子に座る。
それに続いて他の王族達も着席する。
…
椿「(…国王は何処だ?)」
中央にある立派な王座は空席のまま。
しかし周りはそれについて誰もなにも言わない。
ただ一瞬、髭の豊かなオジさんが顔を歪めた。
椿「(欠席の理由って風邪とか?)」
ま、そんな軽いものだとは本気で思っていないけど。
椿「(王室っていろいろ大変そうだな~)」
俺は近くのテーブルにあったグラスを取り、飲みながら王妃の長々しい話を聞き流す。
とは言っても声は嫌でも耳にはいる。
椿「(ん?この声って、さっき部屋で聞いた声に似てるような…)」
王妃「…そして彼が!
我が国を救い、この世界を救う勇者・ユウ=カミヤです!」
王妃の手の先のドアから勇者(笑)が現れた。
ザワザワ…
騒がしくなる。
それもそうだよな。だって…
勇者(笑)が、全身真っ白のチュニックかつパンプキンパンツを履いてるんだから!!
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