夏休み そのⅠ

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「…では王妃様より、新たな帝の名を発表していただきます」 ようやくそれらしくなってきた。 王妃が光沢のあるピカピカの金のフードを持って、勇者(笑)と向き合う。 あのフードを帝の時に着るのか?…すっげぇ目立つだろうな。 敵の格好の標的になりそう。 王妃「ユウよ、私が陛下の代理としてそなたの帝の名を与える。 そなたの名は… ガッッッシャァァァァァァァァァァン!! 何事っ!?」 ホント、何事だよ。 王妃サマ、話を遮られてちょっとキレてるしw 「静かにしろ!! 全員手をあげろ!! 此方には人質がいる! 抵抗したら人質を殺す!!」 覆面や仮面をして顔を隠した30人くらいの連中が、メイドや身なりの良い子供達を人質としている。 それに加えて、魔武器やらをこちらに向けていた。 ワー、不審者だー 「ろ、ロン!?」 「お父様!!」 どうやら、あの身なりの良い子供は貴族の子供らしい。 貴族の当主や議員達の家族はここにいたけど、まだ少し幼い子供達は別室で待機していたようだ。 この式のあと、祝いの宴だけにでも参加させるためだ。 「帝、何とかしろ!!」 「ちょっと待て!! 貴方は子供達の姿が見えないのか!? あの中には私の息子がいるんだぞ!!下手に動いて息子を殺すつもりか!!」 「貴様ら何者だ!!何が望みだ!?」 貴族や議員達が騒ぎ出す。 うるせーなぁ。 静かにしろって言われたばっかりじゃん。 相手の出方が分からないうちは、下手に刺激しない方がいーんじゃねぇの? ま、よく分かんないけど。 全帝「皆さん、静かに、落ち着いてください!!」 灰色のローブを着ている全帝が、混乱して騒ぐ連中を静まらせた。 それで徐々に声は消えていき、やがて静寂になる。 不審者「ハンッ!やっと静かにしたか。 あと2秒騒いだままだったら、可愛い子ちゃんの頭をぶち抜いてたゼ?」 リーダー格の男が銃口を小柄なメイドの頭に、グリグリと押し付ける。 メイド「ヒィッ!!」 メイドは真っ青で、今にも倒れそうだ。 それを見て全帝がなにか言おうとして、口を開こうとしたとき… 「そのメイドの命はどうでも良いから、私の息子を解放しろ!!」 …KY、空気読め。 子供が大切だという気持ちがあるのは分かるが、冷静になれよ。
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