ジューシー

13/54
前へ
/304ページ
次へ
いくら意識しても、自分が同じように扱おうとしても、人間好き嫌いは分かれるもの。 ましてやリサと比べるなんてその時点で間違ってるよな。 早く席から外れたいと願いながら、少しずつ、少しずつ時間が過ぎていく。 相変わらず頬を赤らめてこちらを見てくる視線は変わらない。 いっちょまえに乙女ぶってんじゃねぇよ。 この退屈さをいかに凌ぐか…、俺の頭の中は目の前の客との会話よりも他の事に意識が向く。 そうだ!!こいつのあだ名をつけようか…、見た目、仕草からあらゆる候補のあだ名を考えてみる。 油ハム、おにぎり、桜島大根、汁だく、etc.…。 ん?汁だく? 考え出したらキリがないほど出てくるあだ名の中で、汁だくという言葉がやけにひっかかる。 汁だくをモジって何かないだろうか…。 そうだ!!ジューシーだ!!こいつのあだ名はジューシーと命名しよう!! 再び目の前のジューシーに視線を移し、我ながらあっぱれといいようがないネーミングセンスに笑いが込み上げてくる。
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2172人が本棚に入れています
本棚に追加