手ブラの若者

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夏真っ盛りの8月…。 太陽がジリジリと照りつける中で、俺はカバン1つを抱えながら上京する為に駅へと向かった。 友達なんかいなかったから、見送りなんてあるわけがない。 それでもただ1人だけは俺のずっと側にいてくれた人がいたんだ。 「行ってらっしゃい」 「うん…」 「あたしも後から行くからね?」 「おう!!待ってるからな?俺がいない間しっかりな?それじゃあ行ってきます」 切なそうな顔をする彼女の顔を数秒の間見つめた後、振り返って歩き出す。 「サヤ?大丈夫だから心配すんな!!」 顔も見ずにそれだけを言うと、手だけを振りながら電車に乗り込んだ。
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