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別に大した物は入っていなかったが、財布と携帯以外は全てカバンの中に入れてあった。
これからまた新しくやっていく矢先の事、初っぱなから出鼻を挫かれた気分だった…。
駅員に聞いてもまともに対処はしてもらえず、新天地に乗り込んだ俺の始まりは手ぶらだった。
「これからって時なのに手ぶらとか、俺にはお似合いなのかもな…」
あの時はカバンが無くなった事へのショックよりも、荷物も持たない惨めな自分になぜか笑いが込み上げてきてその場で腹を抱えて笑っていた。
道行く人間もそんな俺を冷やかな目で見ていて、それにも笑えた。
そんな時だったか、1人の若者が俺の前を走り抜けていく。
それを目で追おうとすると、すぐさまその後ろから3人の若者がそいつを追いかけていった。
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