手ブラの若者

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「何で助けてくれへんのですか…」 俺に向かってそう言いながら号泣する若者。 手を胸の前でクロスさせ、コンクリートの地面に正座で座り込んでいるその姿はあまりにも惨めに見える。 「何で俺がお前を助けないといけないんだよ?」 「困ってる人がいたら助けなアカンのですよ?お兄さん…、相手がヤクザだからってビビったんちゃいますの?」 『何だこいつは…』 あたかも俺が間違えてるような言い草でものを言う若者。 見ず知らずの人間を助ける程、人間できちゃいないんだよ…。 俺でなくても普通ならそうだろう…。 わざわざ達の悪そうな連中との揉め事に首を突っ込む方が頭がどうかしてる。 「何なんだよ…、お前…、俺はこれっぽっちも悪くないんじゃないか?」 「お兄さんはビビっただけですわ!!普通なら助けてくれんで?見かけによらずお兄さんはチキンやね?」
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