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「おい、修。今は何をするときだ?」
「話し合いたいなら、とりあえずその腕を離しましょうか」
一時間目。愛用の枕でゆっくりすやすやと睡眠していたところ、急に胸ぐらを捕まれこの状況。因みに二センチばかり浮いている。
この男子高校生を漫画のように軽々と浮かせる男は、数学教師の東雲 重治(シノノメジュウジ)。趣味は己の身体を鍛え上げるという根っからのゴリラで、何故体育ではなく数学教師になったのかと、各生徒から疑問を寄せられている。
今が授業真っ最中のため、勿論クラス全員の視線は俺たちに集まっている。
「それは出来ないな。お前は離したとたんにまた睡眠を始めるだろう」
「すごいですね先生! そこまで俺の事を理解してくれていたなんて感激です!」
「何故お前は嬉しそうなんだ……とりあえず、本題に戻ろうか」
「あぁ、そうですね。確か────『何故東雲教諭はゴリラと呼ばれるようになったか』でしたっけ?」
「全く聞いておらん! そして私をゴリラと呼ぶのは辞めろ何度言ったらわかるんだ!」
「『ゴリラ』と呼んだ回数でしょうか?」
「だから呼ぶなと言っているだろう!」
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