そのいち

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 高々と放り投げられた鞄は、高校の高い塀を超え────、ぽすっという軽い音が発生した。よし、計算通り。  後は…………居た居た。  俺は持ち物検査が行われている校門へと歩き出す。というか思ったんだけど、この検査の仕方ってかなり効率が悪くないか。 「よう」 「げ…………」  いかにも嫌そうな顔されたな。 「仮にも生徒会長なんだから、愛想ぐらい振り撒いたらどうなんだ?」 「あたしは仮にも先輩なんだから、敬語くらい使ったらどうなの?」 「あー、小学生の頃、先生に言われたな。質問を質問を返すやつはバカだって」 「そうね。あたしはバカ」 「だから、俺はお前に敬語を使わないんだよ。敬う言葉と書いて敬語だからな」 「あんたはいちいち、二手三手先の思考読んで会話をするの?」
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