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1-1
プロローグ
『雨の匂いが変わった。気づいているか、長殿』
それはまだ夜も明けきらない早朝に、突然の襲来だった。
「どうした、水飛竜。こんな時刻に」
アルス一族の長、フェシルミア・アルスはベッドから起き上がろうと毛布をめくった瞬間、腹の上に、ぼすっと着地した白い生き物を救いあげた。
中型の爬虫類に蝙蝠の翼をくっつけたようなこの姿でいると、どうも着地がうまくいかないらしい。
今はかわいらしくも思えるちいさな姿をしているが、本来は馬の三倍はあろうかというほど巨大な生き物なので、化けると制御しにくいのは想像できるが、待ち構えるほうは腹に力を入れておかないとまともに衝撃をくらうので、なかなかやっかいだ。
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