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翌日の夕方、俺は中洲にある桃山ラインビルの入口に困惑の表情で立っていた。
藤田氏が働く店とは許可店、いわゆる”箱ヘル”であった事が意外であったからだ。
当時の中洲性風俗と言えばサービス業とは名ばかりの殿様商売をするところが多く、写真を見るだけで写真指名料を取るようなヤカラ経営が跋扈していた。
すべてがそうだとは決して言わないが箱ヘル=本ヘルと言った暗黙の了解があり、サービス業としての程度は限りなく低いと言えたからだ。
もちろん俺もそんな店を客として利用した事は多々あるが、”抜く”目的以外に何があるかと聞かれれば、”何もない”と言わざるおえない。
そんな背景からも性風俗に対しての認識は”性処理”を行う店舗であり、サービス業としての技術・技量・向上心・創意工夫はないものと考えていた。
『よりによって箱ヘルかよ‥』
俺はそう呟いて吸っていた煙草をなげすてて階段を昇った。
2階の店舗入口は南国風な造りになっており、屋号の看板には『FASHION HEALTH Bikini』の文字が見えた。
ふーん、南国風ヘルスねぇ。
期待にむねおどる事なく入口をくぐった。
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