12人が本棚に入れています
本棚に追加
7月17日。雲一つ無い青空の下。
ジャッ ジャッ ジャッ…
玉石の敷き詰められた道を進み、俺は兄貴の墓の前で足を止めた。
墓石には、『河原家之墓』の文字。この墓の中には、俺の兄貴、河原真希緒が眠っている。
「久しぶりだな、兄貴。兄貴が死んでもう三年だ…何かあっとゆう間だな…」
そう兄貴に言い、ポケットの中から兄、真希緒が生きている時に、好んで吸っていたセブンスターを取り出し、火を点け、俺はそれを線香代わりに立てた。
その線香の代わりに立てたタバコから舞い上がる紫煙を、ゆっくりと風が横へと吹き流した。
「俺も吸わせてもらうよ」
そう言って同じ様にタバコを取り出し、火を点けた。
肺に紫煙を送り、雲一つ無い青空へと、紫煙を吐き出した。
自分がどんなに忙しくても、必ず兄貴の墓へ、月に一度行くと決めていた。
タバコを吸いながら、以前来た日から、今日までにあった様々な出来事を、俺は兄貴に報告をした。
そして、短くなった兄貴のタバコを新しいタバコに代え、兄貴が生きていた頃の事を、俺は思い出していた。
「本当、あの頃は色々あったよな兄貴」
そう、三年前は色んな事があり過ぎだった。
そして、兄貴を殺してしまったのは、あの頃、本当に無知で無力な俺だった。
最初のコメントを投稿しよう!