~ 第 一 章 ~

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 その女の姿に、逃げないだろうと確信し、店の中へと向かった。  女は……思った通り、自分の後を付いて来た。 「いらっしゃいませぇ~」  自動ドアを抜けると、店員の声が、店の中に響いた。 「ねぇ、姫野居る?」  受付に向かい、ニコニコ顔の店員に、知り合いである姫野が来ているか、聞いてみた。 「よぉ、勇二じゃねぇか。どうした?」  後ろから声を掛けられたので、振り向くと、客にオーダーを持って行っていたのだろう、姫野が笑顔で立っていた。  俺は何も言わずに、連れて来た女を隣に引き寄せ、女の方に顎を杓ってみせた。 「またか?じゃあ部屋は、四号室な」 「サンキュー!」  俺と姫野のやりとりを見ていた女は、訳がわからないといった風に、俺と姫野の顔を、交互に見ていた。 「行こうぜ!」  頭上に?(ハテナ)が飛んでいる女に言って、姫野の言った四号室へと向かった。  俺の言葉で我に返り、女は早足で後を付いて来た。  店の奥へと進み、目的の四号室へと向かった。  奥へ進むと、他の部屋と違い、ポツンと離れてある四号室の前に行き、ドアを開け、女を先に部屋の中に入れ、自分は後から入った。 ―プルルップルルッ…―  出入口のドアの横に設置されたインターホンが、けたたましく鳴った。 『飲み物は?いつもので良いのか?』 受話口から、姫野の声。 「あぁ」  いつものように、一言だけ言って、俺は受話器を元に戻した。 「なぁ、約束覚えてる?」 ソファーに座り、デンモクで曲を検索している女に言った。 「エッ?」 女は手を止め、素っ頓狂な声を出し、顔をこちらに向けた。 「えっ?じゃなくて、ヤラせてくれるって話し、さっき約束しただろ?」  恐怖を与えないように、俺は笑顔で言った。 「アレって本気だったの?まぁ別に良いよ」  女は、特に嫌がる事なく、笑顔で言った。  バカな女だと、心の中で思ったが、顔には出さない。  俺は、女に近付き、デンモクを操作し、送信を押した。  ピッピッと確認音が鳴り、3.5インチのテレビ画面の右上から、 “My name Is” の小さな文字がスクロールされた。  画面が切り替わったのと同時に、大音量のBGMが、天井に固定されたスピーカーから流れてきた。  そして、その場のソファーに座り、爆音に顔を歪めている女の手を引き、自分の股の所に導いた。
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