タイの恋の話

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こうしてハジャイの妖しく気持ちいい昼下がりは過ぎていったのでした。 耳がスッキリした僕はルンルン気分(死語?)で飯食いに行きました。 中華街なのでやっぱ、中華やろ。フカヒレとか燕の巣とかめちゃめちゃ安いんですよね。 中華料理に目のない自分はあの暖色系の看板や、看板に書かれている日本語的に訳のわからない難しい漢字にワクワクしてしまうのでした。 さすが中華街の本格中華。テカテカ頭の華僑おっさん達の賑やかな話し声をバックに 食す中華はその雰囲気をも食い尽くす極上品。 腹一杯になってまたしてもルンルン気分の帰り道、日本語の歌が怪しげな地下の店から聞こえてきたんです。 看板を見てもタイ語なのでさっぱりわからない。まあ、スナックだろう。階段を下った店の扉は怪しくも喜びの異空間への入り口のような気がしました。僕は意を決して、その怪しげな店に入っていったのでした。 以前、その手のスナックに、なにげに入った時のことなんですが、ニューハーフ系?と思われるお姉様二人に両側からがっちり挟まれるように座られて、逃げ出すのに苦労したことがあったんです。 ビールはバンバン飲むし、僕の頭超しに二人でなにやら人生相談的な真面目な話しを始めるし、酷いめにあったのでした。 まあ、タイ語はサッパリだったのであのお姉さん達が本当に人生相談していたかは不明ですが、僕の頭、迷惑そうに、身を乗り出して二人で真剣に話していたので…… って俺おいてけぼり? そんなこともあって、僕はいつでも逃げ出せるよう階段を降りると、店の扉すぐ近くのソファーの隅に半ケツに近い状態で腰掛けたのでした。
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