タイの恋の話

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昔、何かの小説で読んだ話しです。突然、男の前に神様が現れて「あなたの願い事なんでもかなえましょう。何度でも。」と太っ腹な提案をします。 男は単純に喜んで、「ありったけの金をくれ」とお願いします。 そんで、豪遊、酒池肉林、放蕩の限りを尽くす訳です。 しかし、そこで男はフト気付きます。「何か物足りないなあ?」って。 金を使った遊びってすぐに飽きてしまうし、寄ってくる周囲の人々も自分の金目当てなのがミエミエです。 そこで、男はまた神様を呼び出して、「金はもういいから、人に愛される人間にしてくれ」と頼みます。 それから男はモテモテ人生を歩みます。道をちょっと歩けば、女の子から「キャー!」って。 しかしやがて男は、やっぱり虚しくなる訳です。簡単にチヤホヤされるけど、この自分の魅力は、本当の自分ではないと。 そして、男はまたまた神様を呼び出し、願い事をします。 「人に好かれなくてもいいから、人を好きになり続けられる人間にして下さい。」ってね。 それから男はやっと満足し、幸せな余生を送りましたとさ。めでたし、めでたし。 この話しを読んだ時は、ピンとこなかったけど、今ではなんとなくわかる気がします。 人を好きになり続けるってのは簡単なようで簡単じゃない。自分と折り合いをつけていかなきゃいけないし。時には世間の常識とも、折り合いをつけなきゃいけない。人を好きでい続けることが、喜びだし、試練だし、結局、人生そのものだし。このことが自らの成長に繋がるのかなあ。なんて思ったりしますね。 説教臭くなりましたが、タイ話の続きね。 ソファーに腰掛けお猿さんの様にキョドってたら、ママさんがやってきて、「あなた日本人ですか?」と言う。 なんでわかるんだろ?日本語のカラオケ画面を食い入る様に見つめていたからだろうか? 海外にいると日本の色々なものに飢えてくる。 以前一ヶ月分の日本のニュースをまとめた新聞ダイジェストという分厚い雑誌をもらって徹夜して読んだことがあります。 日本にいると絶対そんなことしないけど、海外だと日本語の文字そのものがなんだか嬉しい。 ま、そんなことはともかく、ママさんが続けて聞いてくる。「どんな娘がタイプ?」 おっ。イイネイイネ。と思いつつ「日本語か英語の喋れる娘がいいなあ。」と答える。
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