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先週の土曜、おばに届け物。
うちで採れた、ちぎりたての梅。
市販のピクリングスパイス。
梅は、ちぎるときに入れたカゴのまま持っていく。
梅の、うぶ毛の生えたような、淡いみどり色の自然な風合いが、茶色の丸いザルのようなカゴに、良く映える。
おばとは、血のつながりはない。
正式な、親戚ではない。
親戚のような、他人だが、おばは、おばなのである。
季節の野菜などを持って、たまに訪ねている。
今回は、梅。
おばのうちに上がり、梅とピクリングスパイスを渡す。
さっそく、おばが、梅を洗っている。
梅味噌を作る。
作ってもまだ余る、と言うので、梅酒にしたら? と提案した。
次は、ピクルス。
色とりどりの野菜が、刻まれてゆく。
まな板に、トントントン・・・と、包丁を刻むリズムが、心地よく、癒される。
季節は、梅雨の中休み。
湿り気を含んだ空気が重く、むし暑い。
スッキリしない天気が続き、気が晴れなかった。
仕事を持つ母は、家事が苦手(母、ゴメン!)。
食事を作るとき、苦手意識からか、鬼気迫る勢いがあり、話しかけられない。
それに比べると、母には悪いのだが(母、ゴメン!!)、おばのゆっくりとしたリズムで作られてゆく手料理の数々は、とてもおいしい。
日頃のストレスも、このおばの魔法にかけられたように、スウッと霧が晴れるような感じで、じわっと癒されてゆく。
目をつぶって幸せに浸っていると、あら、と、おばの声。
梅に何かついてる、と言う。
なになに、と思ってよく見てみると、琥珀色の樹液のようなものが、丸く小さな粒となって、梅の傷口から出ている。
キラキラと光って、宝石のよう。
初めて見た。
写真におさめたが、実物の美しさにはかなわない。
そのあとは、雑談などしながら、おばが魔法のように料理をこしらえていった。
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