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雑談などしながら、おばが料理をこしらえてゆく気配に浸っていると、急に頭がからっぽになった。
何の言葉も浮かばない。
どうしたの、とおばが優しく尋ねる。
不意に、涙がこぼれた。
人形になってしまったみたいで、心が動かない。
電池が切れてしまったみたい、と、やっと言葉が出てくる。
おばは、何でも解っているように、静かに言った。
ここで充電していきなさい。
さ、食べてみようか。
おばの優しい声がする。
うん、と笑って、席につく。
泣いてしまったことが、急に恥ずかしくなり、えへへ、と笑った。
涙を拭きふき、おばの手料理を味わう。
どれもおいしく、優しい味がした。
誰だって、独りでは、生きていけないんだよ。
おばの慰めの言葉が、胸に響いた。
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