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6月11日
雨。
わが家の庭は、広い。
庭のあるじは、母。
うちの庭、と、かけて、母、と、ときます。
その心は・・・
ヒロインです。
すみませんね。
ごめんなさいね。
自慢話になってしまいました?
いえいえ、田舎ですから、どこのうちも、ヒロインですよ~。
さて、今日は、その広い庭について。
庭が広いと、草取りがたいへんなんです。
毎日が、草との闘い。
私は眺めるだけですが、庭のあるじである母は、雨の日以外は、だいたい一日に3時間ほどは、草を引いては抜き引いては抜き、草との闘いを続けています。
天敵か、親のかたきであるかのように、来る日も来る日も、草との闘い。
最近の、梅雨の合い間の週末にも、草取り戦闘開始! と、ばかりに、張り切って外へ出てゆきました。
何か用事があったら、ケータイにデンワしてね!
と、言い残し、いざ、草との闘いの始まりです。
来客があっても、庭が広いため、わからないことが多いのです。
また、電話が鳴っても、外まで聞こえませんし、子機を持って行こうにも、呼んでも届きませんし、どこにいるのか、探し回り、息が切れる始末です。
電話の相手や、来客をあまりに待たせてしまうので、ケータイを持って、草を取るわけです。
以前は、大声で呼んでいましたが、近所中に響くらしく、近くを流れる川向こうの家まで響いていたと聞き、親子ともども、あらためて恥ずかしく思い、ケータイにデンワすることになりました。
東西南北、どこに向かって呼んで良いのやらわからないので、とりあえず、大声で呼んでいた次第です。
田舎ですから、家が建て込んでいないのです。
庭の前には、田圃が広がっており、この時期、カエルが鳴くのもうるさいくらいなのに、お母さ~ん、お母さ~ん、と、大声で呼ぶ声が、うるさくない筈がありません。
なぜ、最近までその事に気がつかなかったのか、私としたことが、うかつでした。
母が、ケータイを持って外へ出る、ということに気づいたのは、幸いでした。
「これからはケータイにデンワしてね!」 と、言い残して、爽やかな笑顔を見せ、まるでそれが最後の別れであるかのように、思いを残すことなく出て行った母の、一家を支える大黒柱のようなたくましさ。
思い出すたび、笑えてきます。
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