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『作戦会議、って』
「言葉通りの意味ィ。まあでも、まずはお互いのこと知ってみっか」
さァ、質問は?
と、唇を綺麗に歪めて笑う誘拐犯に俺は息を呑んだ。
―…振り向いた誘拐犯は想像を絶するほどのきれいな男だった。男にきれいだとか言うのは変かもしれないけど。
黒髪に白い肌。まるで、造り物みたいに整った顔。ぞっとするほど綺麗な、切れ長の瞳が俺を真っ直ぐに射抜いている。
…そして目つきが悪い。
今は三日月を描くこの冷たい瞳が表情を消したなら、おばさんのキツネ顔がかわいく見えるほど、恐ろしくなるに違いない。
猫のように目を細めて笑いながら、俺の言葉を待ち受けている誘拐犯に、息をつく。
『じゃあ、さっきのタグについてたやつ、何ですか』
「GPS」
『…俺、つけた覚えがないんですけど』
「あれは桐生グループの最新モデルのGPSだから。双子のどっちかにでもつけられてたんじゃん?」
『え。…空と陸が』
そんなまさか。と俺はぽかんと口を開ける。だけどすぐに、ありえるな。と思い直した。
そういえば、桐生グループはセキュリティーシステム関連の事業展開が有名だ。それに、別に信用とかの問題じゃなく、俺にGPSつけるやつなんてあの双子しか思い浮かばない。なんでこの誘拐犯が俺と空たちとの交友を把握しているかはひとまず置いておくとしても。
過保護だからな、俺に関して何故か。
と、ここにいない友人を思い浮かべて自然と笑みが零れる。
それにしたっていつからつけられてたのか疑問だ。洗濯とかで壊れないものなのか?
あれか、防水なのか。これが何でもありなケータイ小説クォリティーなのか。 きっとそうだね。
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