《第一章》

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「ヘヘッ。コウ、ごめんね。今日は早かったんだね」 コウの座っているカウンター席の隣に、腰を下ろして声をかけた私を睨んだ後、しばらく…黙々と目の前にあるスパゲッティを食べ続けている。 これは…。「ごめん。だけで許すと思うなよ。バ~カ」 と思っている態度だよね!?でも、しか~し!私もここ数週間、コウと過ごして、キミの扱いは熟知している……と思う。 「コウ、遅刻したお詫びに1つだけ、何かお願い事聞いてあげる。何でもいいんだよ!」 「………。」 う~ん…。これではダメですか…。それじゃー、これはどうだ! 「ここのメニューで好きなの何でも奢ってあげる。何がいい?」 「……本当~~に、何でもいい訳?」 お、これだったか~。 「みこ、あんた…コウの罠に引っ掛かっている様な気がするけど…。こういう場合は、ほっときゃいいのよ。構うと、どんどん図に乗るわよ」 「…華さんは、黙っててよ」 華さんに言われてまた、ほっぺた膨らませてる…。 カウンターの向こう側で、私とコウのやり取りをニコニコしながら、見ていた華さんが言った大人の対応…。 そ、そんな手があったのか…。
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