《第一章》

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私が初めて、華さんに出逢ったのは…私が高校生の時。 当時まだ【花】と言う名前で喫茶店をしていたここは、私の実家からはすこし遠い場所だったけど、友達の、ゆりと遊びに行った帰りに、たまたま入ったのが【花】だった。 ここで食べたケーキの味に一目惚れ…その表現が合っているのかよく分からないけれど…。 お会計をする為にレジの前に立つ華さんに…。 「あの!ここ、アルバイトって募集していませんか?」 今、思えば…私にしては、なんて大胆な凄い事を言ってしまったんだ、と思うけど。 そんな私を華さんは一瞬、瞳を見開いて……。突然、声を出して笑いだした…。 ぅわあ~。絶対、変な子だと思われた!?恥ずかしくなって俯いていたら…。 「孝雄(たかお)!? ちょっとこっちに来て!」 華さんがレジの後ろにある扉に向かって声をかけた。 「何かあったのか?」 ……。中から出てきた男の人を見て私と、ゆりは固まった…。 か、かっこいい…たけど、私達二人が固まった理由は、そこではなくて…。耳一杯のピアスに…袖から出ている腕に…入れ墨……いえ、お洒落な?タトゥー…。固まる二人を他所に華さんは、孝雄と呼んだその人と話している…。
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