《第一章》

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「え…と、ちょっと向こうで話してきますね……!?」 「何で?ここで話せよ。向こうは暗いだろ」 【向こうで話してきます】と伝えて鷹矢さん達に背中を向けて歩き出そうとしたら鷹矢さんに…。また後ろに引寄せられ……鷹矢さんの腕の中です。 ……あ!電話が鳴り止んだ。ゆっくり後ろの鷹矢さんを見上げると、目が合ってしまったので…。ニッ…て笑ったら…。鷹矢さんが眉間にシワを寄せた…。お、怒った? そんな事をしていたら、向こうの方で“シャー”て、音が聴こえた!? あ!コウが違う所に行っちゃう…私は思わず叫んでしまった。 「コウ!?」 「ぅわっ!? え…みこと?」 私が叫んだら鷹矢さんが私を放した…。突然呼ばれたコウは【みこと?】と、周りをまたキョロキョロして私を見つけると、ここへ向かってきた…。 「なんだよ、さっき電話したのに…、みことこんな近くに居たのかよッ…で?だれこの人。あれ、やよいっちも一緒だ」 「コウヤ…。やよいっちじゃ無いでしょ」 ……鷹矢さんが、コウの事をジーーと見ている…。 コウの今日の格好は、黒のカーゴパンツに、白の半袖Tシャツ、白のスニーカー。スケーターファッションだとコウが言っていた。 ちなみに、さっき聴こえた【シャー】は、コウの足元にあるスケボーの音です。 この季節にTシャツで寒く無いのかと何度も聞いたら…。「オレ、みことと違って若いし♪」……。さっきもアイス食べていたしね。 そんな事を考えている場合ではありませんでした…。 どうしよう…まずは鷹矢さんを紹介しないとね。 「コウ、こちらは、私の旦那さまの鷹矢さん」 「え~~!?【たかや】って、さっきの電話のヤツ? マジで迎えにきたのかよ~。あ、みこと今日ここに泊まるって言ってたじゃん…。まさか帰るの?」 あ…。また頬っぺた膨らんだし…。 !?私の隣にいる鷹矢さんが私の腰に手を回してきた…。 「みこと、こちらの方は?」 え…と。どうしたら良いのか判らず…鷹矢さんの向こう側にいる弥生さんを見ると…。 ニコニコで “うんうん”って、頷いてくれた……。 きっと弥生さんは…。 私が鷹矢さんに隠している事も…。 【弥生さんの大切な もの】も【大切な人】の事も…私が知っている事を…。きっと、勘のいい弥生さんは気づいたんだ…。
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