《第一章》

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…ピピピピ… 「………。」 布団の中から手を伸ばして、目覚まし時計を止める。 ──am3:40 〈結愛〉で働く様になって3年近く毎日のように繰り返して来た。 ……だけど。 独りが、こんなにも淋しいと思った事は今までに無かった。 大好きな人と結婚して、私は 【神谷みこと】から【三浦みこと】 になった。 私の隣にいるはずの鷹矢さんの方へと手を伸ばす。 「…たかやさん…おはよう」 返ってこない返事と、この広いキングサイズのベットで、私は独り毎朝目覚める。 私が「淋しい」なんて、言ってしまったら、きっと、鷹矢さんは無理をしてでも逢いに来てくれる、はず。だから言えない…。
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