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「元々ピアスは男性の物で、その片方の右側を…愛する人に──
“誇りを掛けて貴女を守る”
う~ん、ま、愛の告白?その想いを告げる為に贈ったのが…て、俺も、その時調べてたら偶然知ったんだけどね」
私を見てニッと笑うと航平さんは、また夜空を見上げたので、私も空を見上げると…この日は本当に星が沢山見えた。
「その事、知って俺、耳開けて…片方のピアスを弥生にあげたんだよ。
そしたらさ、弥生…すっげー喜んでくれて、それから毎日付けてくれてたんだけど…俺が大学入って…5月の終り頃…突然…。
『他に…好きな人が出来たの…』
そう言われて…勿論、納得いかなくて何度も連絡して、やっと会えたのに──
してなかったんだよ、ね。
俺のあげたピアス…」
「ま、あっちは働いて社会人で、俺は…まだ学生だったし…、もう昔の話しだけどね。あ!鷹矢たちには、俺が、みこちゃんにこんな話しした事は内緒ね」
そんな事を笑って言っていた航平さん…だけど…。
私は───
私が、弥生さんと知り合った時からずっと…
弥生さんの右耳には、いつも1つだけ…今の航平さんと同じ様に、赤いスタッドピアスを付けていた事を思いだしたから…
弥生さんが私に「大好きだった人」と話していた人が…。
だから今でも航平さんを思っているのなら。
そう思った私は弥生さんに会いに…弥生さんの右耳に今も、大切に付けている事を願って。
──それから。
コウの事も…。
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