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──
「──弥生…。」
「…好きな人…出来たって言ったでしょ…
航平とは…違って仕事もしている人で…大人の人、なの。
…大学って…そんなに暇なの?もしそうなら……。
…私なんかより…航平に合う子が…もっと周りにいっぱい、いるでしょ…。
…ごめんね。
私も…仕事で毎日忙しいから。
──もう、連絡して来ないで…
大学……ちゃんと頑張って…」
…一体…なぜ俺は、こんな場面に立ち会ってしまったんだ。
建築学科の親睦会と、言う名の飲み会へと向かう為にゾロゾロと大勢で、タクシーを相乗りする為に大学から出てくる俺達…いや、航平に歩み寄って来た弥生さん。
勿論、俺も他の奴らと先に行こうと、航平を置いて弥生さんの横を通り過ぎようとした。
「──ごめん…三浦くん…」
弥生さんは…通り過ぎようとする俺の腕を掴んだ。
──大学の近くのカフェ。
窓際の4人席に、向かい合って座る二人とは、別の隣の席に着いた俺…
…確かに俺達は…
航平と弥生さんが出逢ったのは、まだ高校生で。
弥生さんの言う様に…
今もまだ学生で、大人ではないけれど。
──それでも。
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