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出張の時に航平に聞こうとしていた事は──
俺達の引っ越しの日、酔って寝てしまった後。
話し声が聴こえて目を覚ました俺は、ベランダに航平と、みことがいるのを見つけた。
「俺、すっっげぇー好きだったんだよね…」
…窓に手を掛けていた、その手を引っ込めて…窓際の壁にもたれて二人の話しを聞いていたんだ、俺。
──あれから
あの日、カフェで声を殺して泣いていた航平は…
一度も、俺達の前では…
弥生さんの名前を口には出さなかった。
弥生さんと別れてからの航平は…
寄ってくる女を、取っ替え引っ替えしていた、けど。
それでも…自分に本気だと分かる相手には手を出していなかった。
なにより──
その、左耳に付けたままのピアスを一度も外している処を見たことが無い。
きっと、航平は…みことだから弥生さんの事を…話したんだろう…。
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