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──
「──ごめん…」
ドクンドクンと痛い程の鼓動と、航平に掴まれた右腕だけが、熱を持ったように熱い。
“ごめん”そう言って航平は…
掴んでいた私の腕を放した。
…ふっ。
追い掛けて、捕まえてくれた事が、こんなにも…今でも嬉しいだなんて。
航平は…優しいから。
ただ。
昔の彼女を放っておけなかっただけ、なのに。
一体あれから何年経ったと思っているのよ。…本当にバカだ、私。
息をゆっくり吐き出して…綴じていた目を開けた。
……鎮まれ…私の心臓…お願いだから…。
──いつか
いつの日か、また航平と逢えるのなら…笑顔で『久しぶり』そう言って笑うんだって、決めてたでしょ…。
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