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「え~と……弥生…?」
「あ、ご、ごめん!久し……ずるいよ航平またカッ…!?」
「………」
後ろから呼ぶ航平の声でハッと我に返った。
勢いよく振り返った私と目が合った航平は一瞬驚いたように目を見開いた、と思ったら…ふわっと…優しい顔で微笑んだ。
久しぶりに見た航平は、私が知っているよりも大人の男(ひと)になっていた。
──それなのに
私の好きだったその優しく微笑む顔は、そのままで。
胸がギュッと苦しくなった。
「…弥生…」
勢い余って『かっこよくなって…ずるい』と、叫びそうになった口を押さえている私に近付いて…。
私の名前を呼んだ航平の左手がゆっくりと私の右頬へと触れた。
航平…。
…あれ……。
そのまま航平にギュッて、抱きしめられた。
航平……?
「…だめだ俺…ごめん……ゃょぃ…」
「え!? 航平!!」
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