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───
──
「………」
「──航平…さん?」
何度か瞬きをした航平さんは、自分のオデコへと、右手を持っていった。
「……みこ…ちゃん?…俺…」
そこまで話した航平さんは悲しそうな顔をして、両手で前髪を押し上げる様に目元を覆ってしまった。
「…ふっ。…みこちゃん俺……夢、見た…。」
「……。航平さん…」
航平さんの枕元に落ちてしまったタオルを拾い上げて、氷水の入った洗面器へ入れながら、私は航平さんから視線を洗面器へと向けた。
目元を両手で押さえてしまった航平さんの、その手は──
震えている…ように見えて──
「…どんな、夢ですか?」
「……うん…やよ──…?」
航平さんは、私の訊いた事に、目元を押さえていたその手をゆっくりと退かすと私を見上げ、航平さんが話しだすタイミングと同じに──カチャ─と、扉の開く音が静かに部屋に響いた。
私が、扉へと視線を移して微笑んだのを航平さんが気付いた。
「……みこちゃん?…たか……っ」
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