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──
「あ!オレ、トイレ行って来る」
「あ、私も~」
コウと薫さんの二人は屋台村に着くと入口近くの御手洗いへ行くと言うと「ああ。その辺で待ってる」
と鷹矢さんは返事をして私の手を引いて歩き出した。
「あの、鷹矢さん?」
「ん?」
私の手を引いたままコウと薫さんのいる場所からどんどん先へ歩いて行く。
「あんまり遠くまでいっちゃうと─」
「あぁ…。混んでるからすぐ出て来れないよ。それに、迷子になったら連絡して来いって言ってあるよ」
そう言ってポケットから携帯を取り出してフッ…と微笑んだ。
…いつの間に…。
それから暫く歩いて…屋台村はあるけど…。
屋台村のある場所は広場で、その周りに林の様な大きな木で囲われている。あ…。
高台になっているここから、さっき断念した観覧船も見えるんだ。
なんて、周りをキョロキョロ見ながら鷹矢さんに手を引かれながら歩いていると──
ドンッ。
「……」
…鷹矢さんの背中にぶつかってしまった。
「フッ…。大丈夫か?」
振り返った鷹矢さんに、うんうんと、打った鼻を押さえながら、頷いて居ると「ここで、いいか…」とベンチに腰を下ろす鷹矢さん。
あ、ここなら景色もいいし、屋台村でいろいろ買って来て、ゆっくり食べられそうだもんね。
屋台村の方は…まだお昼には早い時間にも拘わらず、既に座る場所に困りそうなほどの賑わいでお祭りの様で…ここから見ても凄い人だもんね…。
そんな事を考えながら、私も鷹矢さんの隣に座ろうとしたら──
──グィッ…
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