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「…フッ…。」
「鷹矢さん?」
……つい。
あまりにも可愛い反応をしていたから、つい笑みが零れてしまった。
「ん?」
──あ。
「みこと」
「─ぇ?…んっ…」
『キャー♪』 『ぅわぁ!ば、ばか!』
──俺がベンチから立ち上がろうと視線を前へ向けると、あの高校生くらいのカップルが…。
女の子は先程同様、赤い頬のまま…祈りでも捧げているかの様に手を組んでキラッキラの瞳で…
…隣の男の方は─更に真っ赤な顔と何故か羨望(せんぼう)の眼差しで此方を見ている。
俺が、それを見て口元を緩めた事に気づいて不思議に思った、みことに呼ばれハッと、みことに視線を向けようとするのと同時に──
みことが“あの”カップルへと振り向きそうだった。だから─
咄嗟にみことの頭に手を添えて引き寄せ唇に軽くチュッとキスをして、角度をかえもう一度、しようとした──
「……フッ…」
「…!?」
みことの気をそらそうと、やった事が『キャー♪』『ぅわぁ!ば、ばか!』と、いう叫び声が聴こえ…ビクッと肩を震わせた、みことが“あの”カップルの方へと振り向いて…とうとう気づいてしまった。
フッ…。ま、俺もそんな声が聴こえてきて又、笑ってしまったから、いけないのだが…。
…そんな彼女の口元を彼氏が慌てて押さえたのだろう。
俺と、みことが自分達を見た事に驚いた彼氏が…ガバッ…とベンチから立ち上がりペコッ…と頭を下げると彼女の手を掴んで引っ張る様に走っていってしまった。
……。
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