ただの落書き

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「やだー、もうなんか汚いー!」 「それ、先生に失礼だから!」 お互い目当ての飲み物を手にした私たちは大爆笑のまま教室へと戻ろうとしていた。 その帰り。 自動販売機からすぐ近くの食堂の扉がガラッと開き、急に誰かが出てきた。 驚いた私たちは大爆笑のままの音量で思わず大きな声を出してしまった。 「「ぅわあ!!!」」 しかし、目の前にあるのは男子の制服の襟元で、顔が見えない。 青のネクタイ。 2年生だ。 ビビりな私は芽衣の腕を掴み、すいません、と頭を下げながら足早にその場を立ち去った。 「あはははは!あー、だめだ!真央の顔真似から笑いが止まんないよ!」 芽衣は涙を流しながら爆笑していた。 私は軽く息切れ。 「しかも、さっきの先輩、和田さんっぽかったし、もう、偶然過ぎでしょ!あー面白い!ね、ちゃんと顔見た?」 「だから、私はそんな相手の顔を見る余裕なんてないんだってー!」 「あー、だめ!笑い止まんないや!」 私の話なんてそっちのけで芽衣はずっと笑っていた。
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