ただの落書き

4/32
前へ
/32ページ
次へ
先生にバレて慌ててシャーペンを持つものの、ノートを真面目にとるわけもなく。 私は机の右端に書かれた似顔絵にコメントを書いた。 [なかなか似てるかも(笑)] その日の掃除の時間。 ごみ捨てを任された私は、ごみ袋をブラブラと揺らしながら校舎裏のごみ捨て場へ足を運んだ。 何か騒がしそうな感じがする。 校舎を曲がったところで見えてきたのは、青い上靴の男の人と烏野先生。 先生の姿を見た瞬間、例の落書きを思い出して頬が緩んでしまいそうになる。 先生と青い上靴の男の人は何やらお話し中のようだ。 「欠席と遅刻が足を引っ張ってんだぞ?去年も言っただろーが。」 「起きれねーんだって!!」 「どーせ、しょーもねーことばっかして夜更かししてんだろーが!!早く寝ろ!!」 「どんだけ寝ても起きれません!!」 あ、そうか、烏野先生は2年の担任か。 「はあ……和田、おめーはさあ、……お、なん組?」 話の途中に先生がごみ袋を下げた私に気付いた。 同時に青い上靴の男の人も私の方を見た。 「1年6組です」 微妙に腰パン、ピアスつけてるし、苦手な人だと直感的に判断し、なるべく視界にいれないようにした。 「はいよ、ご苦労さん。」 先生から新しいごみ袋を受け取り、早足でその場を去った。 ただ、ものすごく視線を感じた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加