ただの落書き

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顔ははっきり見ていないけど、背はものすごく高かった。 見た目だけで迫力のある烏野先生よりも大きかったのは間違いない。 上級生の人ってなんでこんなに怖いんだろう。 みんな派手で、チャラチャラしてて。 でも、すごく楽しそうなんだよね。 毎日毎日馬鹿みたいに笑ってさあ。 3日後の金曜日。 また例の時間がやってきた。 「真央ー、もうすぐ授業始るよー!あんた移動でしょー!」 「んー…」 3時間目の授業で爆睡していた私は、授業が終わってもまだ眠くて机にずっと伏せていた。 次の英語、行きたくないし…。 「後2分ー」 私を急かすかのように友人の芽衣が言う。 しつこいもんだから私はしぶしぶ体を起こし、英語の用意を持って芽衣に見送られる中、教室を出た。 渡り廊下前、今日も彼らはタムロしている。 あー、通りづらい。 1年生私しか通ってないし。 今日も足早に彼らの前を通り過ぎようとした。 いつもと同じはずなのに、なぜか今日はすごく視線を感じた。 1年のくせにギリギリに移動しやがって、調子乗ってんじゃねーとか思われてるのかな。 あー、やだやだ。 チャイムが鳴り響く中、その視線を背中に感じながら駆け足で教室に向かった。 「小笠原ー、遅いぞー。」 「すいません」 教室に入った瞬間、力が抜けたようにいつもの席についた。 絶対に誰かに見られてた。 ・・・ただの気のせい? そう思いながらあの渡り廊下を見下ろす。 顔は見えないが、渡り廊下に男子学生の姿が見えた。
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